歯科医師・中村ひろえ先生インタビュー:7 医院経営と「愛と笑顔」の原動力
第4 回となる今回のインタビューは、医療法人有友会の創業者であり小児歯科医師の中村ひろえ先生。異色の経歴を持つ先生の根幹にある、「愛と笑顔」を原動力とする医療哲学と、波乱に富んだ人生から得た豊かさへの視点についてお話を伺いました。

医院経営と異色のキャリア
Q:Amour
ひろえ先生、本日はインタビューにお時間をいただきましてありがとうございます。どうぞ宜しくお願いいたします。
A:ひろえ先生
福岡市内の医療法人有友会で、現在7 医院を経営しております歯科医師の中村ひろえと申します。
Q:Amour
7 医院の開業とはすごいですね。
A:ひろえ先生
一軒一軒、本当に悪戦苦闘でしたが、自分の子供を育てるように育ててまいりました。最初の歯科医院は、理事⾧である主人と二人三脚で1996 年に開業し、もうすぐ30 年を迎えます。
Q:Amour
先生ご自身はどのような経緯で歯科医師に?
A:ひろえ先生
私は一度、福岡大学の商学部を卒業した後、全日空(ANA)に客室乗務員として1 年間乗務していました。
Q:Amour
憧れの職業ですね!
A:ひろえ先生
そうですね。倍率は60 倍ほどで、5 次面接まであったのを覚えています。とても楽しく人の命を守るやりがいのあるお仕事で無我夢中で誇りをもって働いていたのですが、幼少期に患った病気が、その後歯科医師の道に進むきっかけとなりました。
病気の経験と人生の転機
Q:Amour
どのような病気をされたのですか?
A:ひろえ先生
中学・高校時代に原因不明の腎臓疾患を患いました。学校と病院を行き来する生活でしたが、その病気をきっかけに、健康の大切さ、そして人からいただいた愛を強く感じたんです。「愛と笑顔があれば人は元気になれる」と学んだ、宝物のような6年間でした。
Q:Amour
その病気の経験から、特に心に残っていることはありますか?
A:ひろえ先生
当時の私は、薬の副作用で顔が腫れてしまうムーンフェイスなど、多感な時期に辛いこともありました。
でも、家族はもちろん、周りの友人たちから本当に多くの愛と優しさをいただきました。腎臓病で運動が難しかった私をバスケットボール部に誘ってくれた友人がいて、私はボール磨きや応援係としてチームを支えさせてもらいました。皆がプレーしやすいように動くことが私の居場所であり、みんなの愛と笑顔を感じることで、病気を克服し元気になれたと確信しています。
この感謝の思いが、今も私の『「患者様に寄り添う」医療の原点』になっています。

Q:Amour
客室乗務員から歯科医師への転機は何だったのでしょう?
A:ひろえ先生
客室乗務員という仕事は、気流の関係などで腎臓に負担が大きく、体への影響を懸念しました。大好きな仕事でしたが、自分の身体を考え、母に相談したところ、福岡歯科大学の助教授をご紹介いただいたんです。その先生のご主人が30 歳から歯科医師になられたという話を聞き、「手に職」をつけることの安心感から、私も福岡歯科大学に再入学することを決意しました。
Q:Amour
すぐに決断されたのですね。大学での生活はいかがでしたか?
A:ひろえ先生
入学当初は「全日空の看板を背負っている」というプレッシャーもあり、ずっと図書館にこもって勉強していました。土日も10 時間ほど。図書館は今でも落ち着く場所なんです(笑)。
開業、そして患者様に寄り添う医療
Q:Amour
ご主人様とは学生時代に出会われたのですか?
A:ひろえ先生
はい。大学4 年生の時に出会い、卒業後すぐに結婚しました。
最初の開業は、息子が1 歳半の時、私が歯科医師になって3 年後の33 歳です。子育てと開業準備が重なり、悪戦苦闘のスタートでした。
Q:Amour
開業当初から患者様が多かったと伺いました。
A:ひろえ先生
はい。主人の実家が中村病院でしたので、地域の方々や病院の患者様が応援してくださり、当初から1 日に60 人ほど来ていただきました。
私は元客室乗務員の経験を活かし、患者様への「おもてなし」を徹底しました。治療の待ち時間にはコーヒーを出したり、当時まだ珍しかったバリアフリーを導入して、お子様やご年配の方に優しい空間を作りました。さらに、ベランダに子供用の遊具を置くなど、すべての方にリラックスし、喜んでいただける空間づくりを心がけたんです。
Q:Amour
患者様への思い入れが非常に深いですね。
A:ひろえ先生
私自身が病気で歯が悪くなり、インプラントを11 本も入れているので、歯の痛みや大切さ、患者様の気持ちが痛いほどわかるんです。だから、一人の患者様の人生を見据え、その方の幸せにつながるような治療をしたい。特に小児歯科は、「歯育てと子育ては一緒」だと思って取り組んでいます。

【ひろえ歯科医院】https://www.hiroe-shika.com
製品開発と最新の挑戦
Q:Amour
先生はリップセラムや口腔スプレーも開発されていますね。そのきっかけは?
A:ひろえ先生
どちらも「患者様の困った」を解決するためです。リップセラムは、治療で口角が切れる患者様のために、私の大阪歯科大学でのプラセンタ研究を活かし、北海道産サラブレッド馬プラセンタを配合して開発しました。口腔スプレーは、寝たきりの方や小さな子どもでも手軽に口腔ケアができるよう、オーガニックにこだわって作ったものです。
Q:Amour
最近オープンされた「天神HIT 歯科」は、どのような医院でしょうか?
A:ひろえ先生
息子が院⾧を務める、私たちの集大成です。歯を大切にする治療として、神経を守りながらセラミックを1 日で装着する「ワンデー治療」や、歯周病菌を99.9%死滅させる「ブルーラジカル」レーザーなど、他のクリニックがやっていない最先端の治療を導入しています。
空間もカッシーナのソファーやイタリアンタイルを用いて、患者様に“ラグジュアリーな時間”を提供できるようこだわりました。
【天神HIT 歯科】https://tenjin-hit.com
ひろえ先生の夢と目標
Q:Amour
最後に、これからの夢や目標をお聞かせください。
A:ひろえ先生
皆様に喜んでいただくだけではなく、さらに感動していただく、「本当に良かった、びっくりした」と感じていただけるような医療法人でありたいと思っています。
私自身のゴールは、「常になにか光を求めて、輝きを求めて歩いていきたい」ということです。一つの段階をクリアしたら、また次の景色を見てみたい。
Q:Amour
先生は本当に「マグロ」のように立ち止まらない方ですね。海外進出も視野に入れていると伺いました。
A:ひろえ先生
はい!海外進出もとても楽しみです。不器用な分、一歩一歩でもいいから、好奇心を持って学び、行動していきたいと思っています。
Q:Amour
先生のその姿勢、いつも刺激をいただいています。本日はありがとうございました。
A:ひろえ先生
ありがとうございました。
【インタビューを終えて】
ひろえ先生の壮絶でありながら輝かしい人生のお話に、私自身、大きな勇気と温かい気持ちをいただきました。
病気の経験を「宝物」に変え、そこでいただいた「愛と笑顔」を、常に医療という形で惜しみなく患者様に注ぎ続ける先生の姿勢は、まさに「人生を豊かにする生き方」そのものです。「常になにか光を求めて、輝きを求めて歩きたい」という先生のお言葉は、私たち一人ひとりの胸に響くメッセージではないでしょうか。どんな経験も無駄にせず、前向きに、そして愛情深く歩むことの大切さを改めて教えていただきました。
読者の皆様も、ぜひ先生の「愛と笑顔の医療」に触れ、日々の生活の中で笑顔の力を再認識していただければ幸いです。
ひろえ先生、貴重なお話を本当にありがとうございました。

